ミニバンのブーム

ミニバンのブーム

日本のメーカーのミニバンという視点では1982年に発表された日産プレーリー、1983年に発売された三菱シャリオらがその始祖に当たる。
しかしこれらはまだ大きな影響は与えなかった。
1990年に北米向けに開発されたトヨタエスティマが日本にも投入され、それは技術とデザインの面も含めて日本の自動車業界として一つの契機となった。
しかし販売としての貢献はより小さなボディを載せたルシーダ/エミーナの登場までは大きくなかった。
1994年に登入されたホンダオデッセイはメーカーの思惑以上に購入者に大きく受け入れられ販売を伸ばした。
このため日本市場向けにメーカー各社はオデッセイ仕様とも呼べるタイプの車両の開発販売を急いだ。
他のメーカーの同型車も販売は好調となり、乗用車の市場は激変した。
これが契機となりミニバンが一般的なファミリーカーとして定着することとなった。
ブームは自動車メーカーや自動車業界関係者の予想を大きく上回った。
いままでの日本ではここまで大型の車両が販売の主力になるとは考えられなかった。
当初トヨタもホンダもそれぞれが独自の呼び名で宣伝に努めミニバンという呼称は正式には使用していなかった。
大きなカテゴリーとなったこの一群を一言で言い表すカテゴリー名が必要とされた。
自動車ジャーナリズムはアメリカ発のミニバンという語を盛んに使用し、やがて日本のメーカーが正式採用するに及び、日本特有の状況が加味されたカテゴリー名となった。
ミニバン販売数が乗用車販売の第一位となり、ミニバンはセダンにかわり日本のファミリーカーの主役の座となった。
ミニバンが普及したため、広い荷室をもちながらも乗り心地よく人を運べる車両がこなれた価格となった。
このため、寝台車や身体障害者や高齢者を乗せる福祉車両などのベース車として使用されるようになった。
時代の要請から福祉車両の個人購入が広まっており、ミニバンはその中心的な車両カテゴリーでもある。
2006年度のボディタイプ別販売台数では、セダンやステーションワゴンを押さえ、もっとも普及している。
これらのブームにより、もともとスポーツ志向の車を得意としていたホンダやマツダなどでも、主力車種をミニバンに移行させている。

タクシーへの利用

タクシーへの利用

タクシーに用いる場合、保安基準で3列目の乗客が避難できるように2列目と3列目の間でウォークスルーができるものでなければならないという決まりがあるため、2列目がキャプテンシートの車が多く用いられている。
2列目がベンチシートの車は3列目のシートを撤去して5人乗りとして用いるケースが多く、1BOXタイプでは1人掛けシートを撤去して7人乗りとして使用しているケースも稀ながらある。
日本ではタクシーには依然として高級感や居住性を求める傾向が強く、このためセダンが一般でミニバンをタクシーに転用されることはあまりない。
しかし乗合タクシーには必須であり、大きな荷物を運ぶ必要がある空港タクシーには多く採用されている。

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