歴史

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「クライスラーKプラットフォーム」という乗用車のモノコックベースで製作されて1983年に1984年モデルとして発売されたクライスラーのダッジ・キャラバン(Dodge Caravan、現在のJourney)2代目およびプリマス・ボイジャー(Voyager)2代目が北米のサッカーマム達に受け入れられ、ミニバンのスタイルを決定付けたオリジナルとされる。
この型はのちにもう一つの姉妹車種であるクライスラー・タウンアンドカントリー(Town and Country)としても販売され、さらにその後の世代交代で姉妹車種が集約され、クライスラー・ボイジャーも生まれた。
バン型で、フルサイズよりもはるかに小さいことからミニバンとの名称が使用されるようになったが、FFの乗用車ベースで、床が低く、乗り心地に優れるというのが大きなセールスポイントの一つでもある。
一方、日本でワンボックスカーと認識されているトヨタのタウンエース / マスターエースだが、米国では「Toyota Van」として同年に発売され、これがキャラバンと並び、米国ではミニバンの始まりの一車種とされている(英語版)。
ゼネラルモーターズ(GM)はキャラバンに対抗して、トラックのフレーム構造をベースとしたフルサイズバン(シボレー・エクスプレス / シェビーバン)の縮小版として、1985年に、シボレー・アストロ、GMCサファリを出したが、乗り心地の点で乗用車には及ばず、キャラバンには対抗できなかった。
フォードもGM同様、トラック・プラットフォームであるフォード・エコノラインの一クラス下として、1985年にエアロスターを発売している。
クライスラー以外はいずれも商用車ベースで、二輪駆動の場合はFRである。
ルノー・エスパス(初代・後期型)ヨーロッパでは1984年に発売が開始されたルノー・エスパスがミニバンに相当する最初の車種として知られている。
エスパスは、当時クライスラー社の欧州子会社(欧州クライスラー)が自社ブランドのシムカから発売しようとマトラ社に製作を依頼していたものだった。
マトラ社は1977年にはかなりの開発を進めていたが、エスパスとなるまでに時間を要したのは、クライスラーが欧州から資本を引き上げたためだった。
日本では、1975年の第21回東京モーターショー(東京晴海)にトヨタからマルチパーパスワゴンMP-1が参考出品されている。
トヨタはステーションワゴンをアレンジしたRV系の車を以前から参考出品車していたが、より実用的な方向として多目的ワゴンのMP-1が開発された。
そのコンセプトや実際の車のつくりは、今日の目でみればミニバンカテゴリーの車である。
一般には1982年発表の日産・プレーリー、1983年の三菱・シャリオが日本でのミニバンの始祖といわれる。
三菱自動車はシャリオとなるSSW(スーパースペースワゴン)の開発を1977年頃から開始している。
これは1981年の第24回東京モーターショーに出品され公開された。
三菱自動車は創業時からクライスラーと資本関係もあり、開発や販売も多岐にわたり協業している。
日欧米の最初のミニバンが共にクライスラーがらみであった。
その源がマトラか、クライスラーか、あるいは三菱であったのかは定かではない。
米国ではクライスラーが最初であるとされ、一方フランスではマトラが最初とされている。
トヨタが北米のミニバン・ブームに対し、プレビアを1990年に投入、同年日本にもトヨタ・エスティマとして投入した。
トヨタは高級乗用車として宣伝に努めたが、メディアやユーザーはまだワンボックスカーとして扱った。
その後、アコードの生産設備の制約から車高が高くできなかったホンダ・オデッセイが1994年に投入された。
ホンダはクリエイティブ・ムーバーとカテゴライズし、ミニバンとは決して呼ばなかった。
オデッセイは好調な販売を記録し、これが決定的となり、日本においてミニバンという呼称が普及するきっかけとなった。
1994年当初はミニバンはRVの1ジャンルという扱いだったが、2000年代に入り、SUVという用語が普及するにともない、RVは自動車メーカーがマーケティング用語としては用いなくなった。
一方、ミニバンはそれ自体独立した車種カテゴリーとなっただけでなく、セダンに代わる売れ筋ファミリーカーのカテゴリーの一つとして定着し、最も大きな地位を占めるようになった。

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